ダイナー (平山 夢明/ポプラ文庫)

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これは恋愛小説だ

非常に嫌悪感を感じさせる導入なのに、読み進めるにあたって極限状態の中の主人公とダイナーの主人の愛を感じる。これは恋愛小説だ。
狂人の中に、普通の人間が入ったときに感じる違和感と魅力。それまでにあったことのない普通の心を持った人間が、生きのびるために必死であることに対し、客は全てあっさりと人を殺す倫理観の違いが、主人公を主人公たるものにしている。
登場人物の表現自体はグロテスクだし、血なまぐさい話が8割だが、それでも救いがどこかにある。皆、許しを求め、このダイナーに集まる。簡単に人を殺傷する人たちが、自分が生きるための食事を楽しくとる様は、非常に現実的だ。殺し屋達は殺し屋達の悩みを持ち、正常な感覚を持つ人間は特異であるが、皆、本当は平穏な生活を求めている。 原因があって結果が生まれるのだけれども、ただ生き延びるために努力する主人公はぎりぎりの状態でも最善を尽くす。

まるで「セーラー服と機関銃」のような倒錯感

まるで「セーラー服と機関銃」のような倒錯感をもちながら、周りの生き物(人間と犬)に生殺与奪をもたれなが主人公は生かされ、そして生きる意味を知る。最後は、野生の証明のようなクライマックスを迎えるが、それでもわずかな救いが生まれる。まぁ一人称で始まる小説は生き残ることが多いのだけれど。殺傷の表現が多いので個人的に気になったが、それでも揺れ動く人間の心の機微を描くのに成功している。
ただ、この本、注意して読まなくてはいけないのは読む場所だ。絶対に飲食店では読むべきではない。吉本ばななのキッチンは台所でよめるけれど、このダイナーは、絶対に飲食店で読むものではない。(僕は読んだけど)読む場所を選んだほうが良い。

グロイけど、なぜか生きる執着心が感じられる作家の世界観

名著といって差し支えないのではないだろうか?グロイけど、なぜか生きる執着心が感じられる作家の世界観は非常に魅力的で、中毒性をもたせる。
好き嫌いがはっきりするけれど、読み勧める読書としては非常に高いレベルで構成されている稀有な一冊。 漫画化も映画化もされているけど本が一番面白いと思う。人の想像力は無限だ。

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